知らぬ間にサラリーマンの社会保険料が上がっていた

久しぶりに橘玲氏の「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」を読み返した。おそらくこれで4度目だ。サラリーマンを続けるか、会社を辞めて独立するか迷っていいる人がいたら、この本を一番に進めたい。僕が会社を辞めるときに背中を押してくれた本だ。刺激的な表現が多いがそれだけではなく、小規模事業者が取り組める節税のエッセンスが詰まっている。国に搾取されずに人生を設計するために、いかに合法的に税金を抑えるか、合法的な範囲でいかに多くの再分配を受け取るか、を惜しみなく書いている。

と、ここまで書いたが、今回僕が筆をとったのは本書の全体的な書評をしたいわけではなく、サラリーマンが国から以下に社会保険料という形で搾取されているかを、独立を考えているサラリーマンの方にお伝えしたかったからだ。橘氏も本書で重点的に指摘しているが、要約すると以下のとおりである。

日本の医療保険は高齢化によって急速に膨らんできている。自営業者が加入する国民健康保険を大幅に引き上げることは困難であるが、サラリーマンからは問答無用で徴収できる。サラリーマンから徴収した保険料で国民年金や医療費の赤字を補填している。

またサラリーマンは、労使折半の原則に従って社会保険料の半額を会社が支払っているのでサラリーマンは得だと思っているが勘違い。これは人権費として計算しており、社会保険料がなければサラリーマンがもらえるはずのお金であり、社長のポケットマネーではらっているわけではない。半額を会社負担にするというのは、この”不都合な真実”を隠すためののトリックである。

お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」を要約

また橘氏は社会保険料が徐々に引き上げられていることを指摘していた。実際に全国健康保険協会のデータを検証して見ると確かに徐々に引き上げており、年収が上がらなければ、手取りはどんどん減っていく仕組みになっている。下の表はサラリーマンの給与から天引きされる健康保険と厚生年金の料率の推移をまとめたものだ。赤字は引上、青字は引き下げを示している。また健康保険料は各都道府県により異なるが、下表では47都道府県の平均を記載している。なお厚生年金については全国一律の料率である。

改定月健康保険料(40歳未満)健康保険料(40歳以上)厚生年金
2011年3月9.50%11.01%16.41%
2012年3月10.00%11.55%16.77%
2013年3月10.00%11.55%17.12%
2014年9月10.00%11.72%17.47%
2015年4月10.00%11.58%17.47%
2015年9月10.00%11.58%17.83%
2016年3月10.06%11.64%17.83%
2016年9月10.06%11.64%18.18%
2017年3月10.09%11.74%18.18%
2017年9月10.09%11.74%18.30%
2018年3月10.02%11.59%18.30%
2019年3月10.02%11.75%18.30%
2020年3月10.02%11.81%18.30%

表を見るとわかるが、2011年に社会保険料の合計は40歳未満の場合 25.91%であったが、2020年3月時点では28.32%となっており、2.41%も上昇している。サラリーマンが目に見える部分、つまり給与明細に反映される部分の半額で考えも 1.2%である。年収600万円のサラリーマンの場合なんと7万円である。おそらく大半のサラリーマンは銀行に振り込まれる金額以外見ないので気づいていないのだが。

しかし、気づいたとしてもサラリーマンである限り、なすすべがなく、むしり取られるしかなく、この罠から逃れるには自営業者になるしかないのだ。

とここまで書いたが、自営業になったらなったで、また別の問題がある。「不都合な真実」に気づかない高級社畜でいるのが、一番幸せなのかもしれない。

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